【紹介】私がオススメする小説家になろう作品5選②


2010年頃から小説家になろうを読み始めて、これまで数百作品読んできた私が厳選した名作をジャンルおよび形式不同で紹介していきます。

レビュー

それでも平凡は天才を愛せるか?

作者:由比ヶ浜 在人
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕
状態:連載中(2018年9月現在)
URL:https://ncode.syosetu.com/n6792em/

──"答え合わせ"をしましょうか

世界屈指の名門であり、名立たる財閥の子息などの天才が集まる鷹閃大学。
そんな大学に合格出来てしまった平凡な青年は、奇人天才達と関わりを持つようになる。
大学にて平凡だからこそ目立つ青年は天才達と対立していき、彼らの行動の動機を推理していく。

本作はミステリー小説となりますが、殺人事件といった非現実的な事件は起きません。例えば二章では合コンに関しての小さな疑問を軸に物語は進んでおり、日常のなかに潜む悪意とその動機を推理して平凡が天才と戦うというのが主な構図になっています。
またミステリー小説らしく大きなトリックが複数に仕込まれており、物語全体を二転三転と変化させていきます。ミステリー小説となりますので、トリックの正体は読者自らが読むことで感じ取ってほしい。


石ころ冒険者

作者:行
ジャンル:アクション〔文芸〕
状態:連載中(2018年9月現在)
URL:https://ncode.syosetu.com/n1616ee/

──もらうぞ! お前のカルマを!

異世界へ転移する技術が普及し、そこでは地球から異世界へ転移してモンスターを狩る冒険者という職業が一般化した時代。全ての冒険者はランキング化され、上位から黄金、白銀、青銅に分けられ三クラスに入る冒険者は全体の一割であった。残りの九割はランク外の「石ころ」と呼ばれていた。
青銅を目指して地道にランクを上げる石ころ冒険者の花園巽は、他者と関わり仲間というものを見つけながら青銅を地道に目指していく。

本作はトップランクである黄金を目指すものではなく、一般的に冒険者と呼ばれるようになる青銅を目指している「石ころ」が死と隣り合わせの世界で泥臭く生きるために足掻き続け、厳しい現実と向き合いながら全体の一割のランク入りを目指して歩み続ける物語です。

一章は花園巽が信頼できる仲間とその人が歩んできた人生を形得たもの「固有スキル」を得るまでの物語となっており、二章からは一転して作風が変わっています。それでも主人公が石ころである事は変わりなく、彼は青銅を地道に目指し続けます。泥臭いお話や、チートで一気に成り上がる物語が食傷になった人に是非オススメする一作です。


夜伽の国の月光姫

作者:青野海鳥
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
状態:連載中(2018年9月現在)
URL:https://ncode.syosetu.com/n4138ck/

──そんなぁ


おっさんが美少女にTS転生して、私欲のために動いていたら結果的に良い方向へと流れていく勘違いコメディ。おっぱいに埋もれるという下心のままに行動したり、暗殺しようとしたりとしても、すべてがセレネの思う通りにはいかず、世界にとって良い方向へと進んでいく。

勘違い系の傑作のひとつ。主人公も周りも勘違いし続けるおっさんTSものなのだが、ボケだらけのキャラクターに地の文がツッコミをして相乗的に面白さが際立っている。主人公であるセレネも最初から最後まで私欲で進んでいるので一周回って気持ちよさがある。
部ごとに綺麗に完結しているが、現在第三部連載とのことで連載中の表記とさせていただく。


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ギスギスオンライン

作者:ココナッツ野山
ジャンル:VRゲーム〔SF〕
状態:書籍化未遂/連載中(2018年9月現在)
URL:https://ncode.syosetu.com/n0776dq/

──死ねよやぁーッ!

はじめに。本作は一貫してコメディです。そして主人公についてですが、これがアクが強い。
強すぎて小説家になろうで一番アクが強い主人公です。断言できます。

本作は主人公のコタタマの一人称で進んでいきます。もちろんセリフと地の文があるのはあるのですが、地の文としての意味をなしていません。本作で地の文として解説されている箇所はほぼ主人公が喋っています。
つまり、主人公は喋るのを辞めると死ぬのではないかと言うくらいには喋り続けています。そして息を吐くかのように詐欺をし、命乞いをして、死んでいきます。ぶっちゃけ主人公はクズです。この主人公のクズさを楽しめれば終始笑える作品となるでしょう。

また主人公は強キャラというわけではなく、死にすぎて周囲が不安になるくらい崖っぷちなゲーム生活をしています。というよりも種族人間(プレイヤー)は他種族(NPC)に比べるとゴミなのでみんなモンスターに殺される前に人間同士で殺されたり殺したりして死んでます。プレイヤーはみんな総じて雑魚なので、強くなるにはリアルの尊厳を捨ててボトラーになるしかありません。改めて見るとなんだこのゲームバランス……。

本作のひとつの特徴として現実世界を一切映してないところにある。主人公のコタタマは漫画を読んだり、全く関係のない別のゲームの話題を出している事から、ちゃんと現実として実在しているのに、本作では全く現実世界での生活を全く描いていないのだ。本作はただただ主人公がゲームを遊んでいる姿だけが描かれている。また先程においてゲーム以外の話題を出していると言いましたが、これは我々の世界と同じ創作物となります。つまり、作中でナル◯やモン◯ンといった単語が頻繁に登場します。この辺りもギスギスオンラインならではの作風であろう。

ゲーム本体は地球外から持ち込まれたかのようなデザインをしており、確実にデータだけで構成されたゲームではなく別の世界っぽいのが、そんなこと彼らゲーマーにとってはどうでもいい事なのだ。未知の物質であろうとも、それで楽しめることができれば良いのです。ゲームの本質というのは楽しむものなのだという真理を描いています。まったくそんな高尚さはありませんが……。

あと書籍化未遂とありますが、書籍化予定であったレーベルが出版中止になった自虐ネタです。詳しくは「レッドライジングブックス」で調べると良いかもしれません。

これは、とあるVRMMOの物語。
まずはなんとなくで読み進めて、本作独特のペースと作風に慣れましょう。
そして作風を理解したなら一話ごとに爆笑必至になることでしょう。

GunS Guilds Online


Re:ゼロから始める異世界生活

作者:鼠色猫/長月達平
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
状態:書籍化/コミカライズ化/アニメ化/連載中(2018年9月現在)
URL:https://ncode.syosetu.com/n2267be/

──俺が必ず、お前を救ってみせる

突如、異世界へ転移した菜月昴。彼はひとりのハーフエルフの少女と出会い、一目惚れする。
彼女に救われた菜月昴は、少女を救うために奮闘するも死んでしまう。死んだはずの菜月昴が目覚めると、少女と出会う前の時間に遡っていた。そう、彼が異世界で与えられた力は「死に戻り」と呼ばれる力であった。
「死に戻り」を繰り返しながら、彼は望んだ未来を掴むために運命と立ち向かい続ける。

『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、リゼロ)はコミカライズ、アニメ化、多くの外伝作品が公開されており、海外にも人気があって根強いファンが多数いる。
書籍化される以前の当時はいわゆる「ループもの」の特色や主人公であるナツキ・スバルの異様な言動から書籍化不可能とさえ言われていたが、なんだかんだで人気を博した。現在削除された作品を除いて「小説家になろう」といえば『無職転生』と『リゼロ』の二作品をあげる人が多い事だろう。

本作は読み進めていくほどに絶望感が増していくのが魅力の一つであろう。またキャラクターのひとつひとつの言動にも理由があり、主人公の異様な言動にもちゃんとした理由が存在している。主人公の言動がキツくて読むのが辛いという読者もいるかと思いますが、それを上回る多くの魅力こそが本作が人気を博した訳なのだろう。
書籍版ではweb版よりもマイルドな言動(それでもキツいのはキツいところもあるが)となっているので、web版を断念した方は書籍版を購入するのも一つの手でしょう。


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