【感想】金色ラブリッチェ


SAGA PLANETS(以下サガプラ)といえば萌えゲーで、四季シリーズ以外は平凡なシナリオというイメージでしたが『金色ラブリッチュ』はそのイメージを覆すほどの力を持った作品だった。

メインヒロインは全て金髪、メインヒロイン四名の内の一人は喫煙者というなかなか色物っぽさを感じさせるサガプラにしては挑戦な作品と感じましたが、TRUEまでの内容はいつものサガプラでした。しかしTRUEルートからの展開はアップテンポなOPからは想像させないシリアス展開が続き、サガプラと同じビジュアルアーツのKeyのようにプレイヤーを感動で泣かせにくるタイプのシナリオでした。いやぁ色物だからどうなるかと思いましたけれど良い意味で裏切ってくれました。

シナリオ   :43/50点
キャラクター :9/10点
グラフィック :8/10点
音楽     :7/10点
声優     :8/10点
システム   :8/10点
合計     :83点(評価B)

ここからは『金色ラブリッチュ』の重大なネタバレが含まれています。未プレイでの閲覧は自己責任でお願いします。






各ルートの簡易感想

先程もいいました玲奈・エル・茜ルートの内容はありきたりで、いつものサガプラでした。というよりもシルヴィ・理亜ルートの為のお膳立てのルートってイメージが強かったです。(友人から恋人関係の発展が偶然の重なりによる麻薬セックスっていうのが……しかも3P)

まぁ玲奈のような近い距離の友人が、いつのまにか恋に落ちていたというのは個人的に好きです。玲奈エピローグの幸せな家庭というのを見ていると、なんでか心が苦しくなってしまいます。ああいったシーン好きなんですけれどなんででしょうね……この気持ち。
エルはにゃんにゃんかわいかったです。
いつもどおりHシーンの実用性は高いですが、理亜ルート後は他のキャラのHシーン見てても理亜の事を思い浮かべてしまい使えなくなります。ヌくのならば理亜ルート突入前に一気に抜いておくのが吉。といってもこの記事見てる人すでにクリア済みでしょうから私と同じ目にあっている人いるでしょう……。
唯一シルヴィだけが理亜とシルヴィの関係性から使えるんですよね。てか他のヒロイン思い浮かべてしまって勃たなくなるって、なんだか浮気の背徳感みたいだ。



さてシルヴィルートから理亜に関して不穏な空気が流れ始めます。
決定的だったのが幼少期の断髪と髪を梳いているシーンでしょう。この時点で理亜は幼少期に脳の腫瘍を摘出する為に後頭部を手術しており、シルヴィは理亜の為にウィッグをプレゼントする為に断髪したのだと推測できてしまいました。


違っていてほしい。そうであっても良い意味で裏切る展開がほしいと思っていましたが、まぁそんな甘くありませんでした……。こう伏線が伏線としての機能をせずに展開が推測できてしまうっていうのは辛い。物語を第三者の視点から見てしまって、主人公に移入できなくなってしまうんですよね……。



グランドエンディング

グランドエンディングまでの内容について語ることはありません。シルヴィルートを終えた時点でどのような展開になるのかは予想がついていましたし……まぁ想像通りな展開でグランドエンディングを迎えましたが、ここからが『金色ラブリッチェ』の本番でした。

理亜ルートなのに何故かorohoraの指輪を所持しているシルヴィ。そして彼女のピアノによってグランドエンディングは始まります。彼女が何故理亜の指輪を所持しているのか。何故ピアノを弾いているのか。
後になって振り返るとシルヴィルートのアフターストーリーも、理亜ルートも両方がグランドエンディングであるという比喩なのでしょうけれど、この時点では気が付きません。というか脳内はクエスチョンマークでいっぱいでした。

理亜ルートのエピローグは、あれからの一年間の月日を要約しています。そうした先に彼女の最後も……。
彼女は市松央路という世界一の彼氏によって、最高の人生を経験し幸せに亡くなりました。これをハッピーエンドと言わなければ何がハッピーエンドになるんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
はぁ……。(感嘆)

葬儀の後にイチが向かった先は、彼女の「ゴールデンタイム」であった屋上からの夕陽であった。そこで出逢ったのは理亜の様に短髪になっていたシルヴィだった……。ここのシーンは感動で言葉を失っていました。
すべての始まりであるorohoraの箱は永遠の中へと沈んでいきました。そうして10年前へと繋がるわけですが、この永遠の中へと閉じ込める描写は理亜のシーンに幾度か登場しており、その対比になっているんです。



彼女は死んでしまった。
それでも彼女の人生は最高であったし、カッコよいものだった。
彼女の金色を籠めたorohoraの箱は、彼女と共に輝ける永遠の時間へいる事でしょう。



金色の時間はまだ続く――

これにて「GOLDEN TIME」は終わり、タイトルへと戻るのですがBGMはOPインストを使用している為に陽気な音楽で、如何せんこの後にタイトルに戻ってくるとせっかくの余韻を破壊してきます。グランドエンディング通過後はタイトルの画面と音楽が変化する演出であればもっと評価したかも知れません。


さて「GOLDEN TIME」は終わりましたが、金色の時間はまだ続きます。EXTRAを確認するとシルヴィと理亜のCGが埋まっていません。
ということで追加選択肢でも増えているのかと既読スキップしているとシルヴィルートにてアフターが追加されていました。
内容自体はシルヴィルートのアフターですが、彼の選択次第では理亜ルートのアフターとも解釈ができます。シルヴィと結婚するには立場がないといけませんし、マリアが見た夢は金色の永遠にあります。彼女にとっての金色であるシルヴィとイチの子供であれば、それを見たところでなんら不思議はないでしょう。

またグランドエンディング「あの輝きを忘れない」の導入にてorohoraの指輪を持ったシルヴィのCGがあり、そのCGの差分に子供のマリアが追加されている事。この事からどちらのアフターで解釈しようが自由にして良いと私は感じ取れました。


理亜ルートである「GOLDEN TIME」が終わり、シルヴィルートの追加アフターが終わっても『金色ラブリッチェ』はまだ終わりません。理亜のCGがまだ一枚埋まっていないのです。そう思いEXTRAで確認しようとしたら……あの演出をくらいました。
少し伸びた金色のウィッグをした理亜と屋上でのシルヴィの結婚式と冠婚葬祭というセリフから、理亜と屋上で夕陽を眺めた日から葬儀までにブライダルフェアへ行った際のものかと思われます。

はぁ……幸せそうな二人を見つめていると涙が出てきてしまう。
最近涙腺が緩くなったと実感します。

プレイヤーに不足した二枚のCGからシルヴィルートのアフターを探させ、その後に一枚しか出てなかったと思いEXTRAを開かせる。このようなプレイヤーの心理を逆手に取る演出は「うまいっ」と思わせられましたし、BGMが変化してて理亜ルート終了後のタイトルBGMで引っ込んでいた余韻が戻ってきて涙腺を刺激させられました。
まぁタイトルへ戻ったらBGMが余韻ブレイカーなのは相変わらずですが……。(笑)



総評

これまでサガプラでシナリオが良かったものといえば四季シリーズというイメージがついており、他のシナリオは平凡でサガプラは基本キャラゲーという印象がありました。
ですが『金色ラブリッチェ』はヒロインの闘病生活、後にヒロインの死後に別のヒロインと主人公が結ばれるといったサガプラというブランドの特色からは出るとは思わなかったシナリオを出してきました。

オープニングも明るく、事前情報もシナリオ特化という話もなく、本編もシルヴィルートをプレイしてやっと片鱗を見せるという情報の少なさから、サガプラにしてはすごい挑戦的な作品だと感じました。

サガプラやゆず等の萌えゲー系列で次回作がどうなるのかここまで楽しみだと感じたのは初めてです。『金色ラブリッチェ』という傑作がサガプラの転機となり今後の作品にも大きく影響していき、萌えゲーの枠を飛び越えていけばと期待しています。



GOLDEN TIME

人間、カッコよくあろうとすることは大切な事だ。
なぜならば、カッコよくない人生は金色の様に輝いていないからだ。
だから、金色であろうと――カッコよくあろうとする事は大事なことだ。
人からカッコよく見られるのではなく、自分がカッコよくいることが人生を輝かせる。

人生は、意味のあることとないことをちょうどバランスよくこなすのがいい。
意味のないことも、時が経てばやがて大切なものとなっていくから。
だからこそ、それを得ることは難しくても人は最高の時間「ゴールデンタイム」を目指すべきなのだ。そうしていくと、きっと世界は金色に輝いている。
夕陽は金色に輝き世界は闇へと沈む。それでもやがては朝陽によって世界は金色に輝く。そんな感じに最悪だと思っていたことが、幸せに繋がっていることだってある。

思い出した全てが輝いている。
いま、この瞬間さえも――。


0 件のコメント :

コメントを投稿